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発表要旨
多くの動物は「群れ」生活をしている。19世紀の博物学者は,その群れの集団生活の中に「社会」の存在を見出した。そこには「相互扶助」による共同体が想定されていた。しかしこの群れ社会のリアリティが明らかになったのはつい最近のことである。動物社会の「利他行動」や「ヘルパー」といった相互扶助の基底には個体間の強い競争と抑圧があった。この一方で,単独生活をする動物も少なくない。このような動物には「社会」があるのか。あるとすればどのような形で存在するのだろうか。社会とは,個体の集合様式ではなく,個体間相互の関係様式である。社会を導く動物たちの行動・生態学的な背景を議論してみたい。それはおそらく人間社会へもつながっている。
講演会のねらい
「祭り・祝祭の研究なのに、なぜ生態学?なぜ動物?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。本研究プロジェクトでは、これまで祭り・祝祭に関する理論的あるいは本質的な議論を、学際的に行ってきました。そうした活動から今回は、人が動物であることに立ち返り、三浦愼悟氏をお招きして、祭り・祝祭の背景(あるいは前提)となる「集まり/社会」について議論する予定です。人間が脱人間中心主義的な視点から、自らを地球上の他の生物たちと同等の存在として、あるいは、生物社会的存在として自己認識を深めるとき、動物世界の「社会」のあり方から学ぶべき点は多々あるでしょう。
本講演会は、本HPの研究プロジェクトの活動の一環であり、定期的に行っている研究会を「講演会」として公開とするものです。研究者のみならず学生にも開かれています。多くの方々のご参加をお待ちしています。
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